ガラスやフィルムなどの機能・性能を語る上で、「断熱」と「遮熱」という言葉が使用されていますが、本来は意味がまったく違うのですが、どうもみなさん混同しがちなので、あらためてご説明したいと思います。

断熱と遮熱の違い

断熱とは、わかりやすい表現で言うと、「熱の伝わりを断つ(たつ)」という意味合いです。 単板ガラスやフィルムでは、断熱という言い方は正しくなく、本来は建物のペアガラスなどを用いて、室内の温かい空気を、ペアガラスの中間層の存在で屋外に逃さないように断つことを言います。

カーフィルムにおいては、特に透明系の赤外線吸収フィルムの呼び名を「断熱フィルム」と呼んでいました。 太陽光の赤外線を、フィルムの赤外線吸収剤で吸収して、車内に侵入する熱量をやわらげようという仕組みですが、これを断熱と言えば断熱。 曖昧な定義のまま長らく「透明断熱フィルム」と呼ばれています。

太陽熱をフィルムの構造で反射し、室内に侵入する熱量を「遮る(さえぎる)」というのが本来の解釈ではないでしょうか。 ついでに遮熱効果の仕組みも次でご紹介しましょうかね。

遮熱の仕組み

遮熱効果はどう見るか!?

太陽の日射エネルギーをどれだけ遮っているのかを知るには、まず光学特性が必要。 フィルムそれぞれに必ず表記されています。表記も無いようなフィルムは怪しいので避けるべし。

光学特性には可視光線も「反射・吸収・透過」の表記がなされていますが、コレはフィルムの濃さの数値となり、遮熱性能を知るには「日射」のところの数値を見ます。 A=反射は、フィルムを貼ることで反射される熱の割合、B=吸収は、貼ったフィルムで吸収する熱の割合、C=透過は、フィルムを通り越して室内に侵入する熱の割合、A+B+C=100%です。

どれだけ反射するのかも重要ですが、みなさんあまり言わないのが「吸収」です。 吸収された熱はどこかに消えているのではなく、外に約7割、内側に約3割と放射します。 これは自然の摂理なので変えようがありません。

外側に反射された熱量と、一旦吸収した熱量のうち外側へ放射された熱量の合計が遮熱性能となります。

光学特性をもとに実際に

クアンタム14の場合の計算の仕方(答えは出ていますが)

日射吸収率=70% 吸収後に外部に放射される割合約70% という事は 70☓70%=49%。

日射反射率=13% なので 13%+49%=62% 

微妙に1%違いにはなりましたが、クアンタムの遮熱性能は、

全て(紫外線&可視光線&赤外線)の太陽エネルギーのカット率が62%となります。

透明断熱フィルムの場合

日射透過率70%、日射反射率7%、日射吸収率23% のデーターから

日射吸収率=23% 吸収後に外部に放射される割合約70% ということは 23☓70%=16%

日射反射率=7% なので 16%+7%=23%

IR(赤外線)90%カット!と言われている、透明断熱フィルムの遮熱性能は、

全て(紫外線&可視光線&赤外線)の太陽エネルギーのカット率が23%となります。

ちなみに、5ミリ厚の透明フロートガラスの場合は

日射透過率89.5% 日射反射率8% 日射吸収率2.5% のデーターから

日射吸収率=2.5%  吸収後に外部に放射される割合約70% ということは 2.5☓70%=1.75%

日射反射率=8% なので 1.75%+8%=9.75%

5ミリ厚の透明フロートガラスでも、

全て(紫外線&可視光線&赤外線)の太陽エネルギーのカット率が9.75%となります。

反射と吸収の違い

国産カーフィルムのほとんどは、日射吸収タイプとなっています。

◯ 黒く着色したため、黒い色の影響で日射を吸収してしまうスモークフィルム。

◯ 日射吸収するスモークフィルムに、さらに赤外線吸収剤を混入させて、吸収率をアップしたスモーク断熱フィルム。

◯ 透明なフィルムに赤外線吸収剤を混入させた透明断熱フィルム。

一部、アルミを蒸着をさせて日射を反射するタイプのミラーフィルムもあります。

海外製品は、世界各国への輸出が行われているので、灼熱の地域では必須となる遮熱効果の高い「日射反射型フィルム」のラインナップが常識となっています。

その中でも、各社ともにフラッグシップモデルとして君臨しているんが「金属スパッタードフィルム」。 ソーラーガード・クアンタムやプレミアムLXが相当します。 

のりもの屋オヤジが、吸収よりも反射!!と断言している理由は、ひとつの体験・体感につきます。

建物フィルムの勉強会に参加している時、吸収と反射の違いを一瞬で判断したいならココだと案内されたバルコニーの窓ガラス。

ここには、透過率85%程度の日射吸収型透明断熱フィルムと、透過率70%程度の日射反射型遮熱フィルムを貼っていました。

パッと見は、どちらもほぼ透明に見えて、フィルム越しに見える景色にも違いはほとんど感じられませんでしたが、「窓に手を当ててみろ」の指示に従い、そっと窓ガラスに触れてみると、片方はひんやりと冷たい窓ガラスなのに、もう片方はモワァ~と温かさを感じました。

これまでは、遮熱性能の違いをソーラーメータの針の振れやデーターで見ていたけれど、人間が肌で感じる実感ってすごく大切だなぁ~と勉強になりました。

現在は、店頭で吸収と反射の違いを実感していただける体感器も常設しています。

車には日射反射タイプを

自動車の車内は狭~い空間で、人と窓ガラスとの距離もすごく近いので、日射を吸収してモワァ~と熱気が漂ってくるフィルムより、効率よく日射を反射してくれるフィルムの方が理想的だと当店は考えています。

日射吸収タイプを「断熱」と呼ぶのは正しいのか・・・・

フィルムの場合は、「遮熱」が正しい言い方だと思います。

遮熱にもいろいろあって、それぞれがすべて性能も異なるので、よぉ~く勉強した方が良いということですね^^

自分ではなかなか解釈できないと思うので、専門店か誰かに聞くほうが手っ取り早い。

ただ・・・・誰に聞くかで答えは大きく変わりますぞぉえ~~~!

ただの車好きの兄ちゃんに聞いたら「ほら真っ黒やろ!」という回答かもしれんし、メーカーのカタログやサンプル帳を見てしか話しできないようなマヌケ施工屋もいてるやろうし(笑) 

まぁ、ここにたどり着いているお客さまはラッキーですよ! ぜんぶ読みさえすれば、全ての答えは当サイトにありますから。

よろしくです^^