プロテクションフィルムの歴史

3Mが軍用ヘリコプターのローターにウンヌン・・・という歴史は多くのサイトで掲載されているのでここでは省略します。

車両用PPFとして古くから活用されていたのは、新車時の貼り付けでよく見かける「ストーンガード」です。 リアドアとリアフェンダーの張り出しがある車両に多く貼られており、フロントタイヤで跳ね上げた小石がリアドアの後方やリアフェンダーの前向きに張り出した部分に当たって塗装が欠けないように、新車製造時から貼り付けられています。 この純正のストーンガードはポリウレタンフィルムに粘着剤を施しただけのノンコートの製品で、汚れが付きやすく落ちない、さらにフィルム自体が黄色く変色し美観を維持できない。 なのに貼り替えようとしても強粘着の糊がガッツリ残って完全剥離するには塗装面にも影響がでてしまうような難儀な製品です。 基本的な知識があればプロ施工店がこのような製品を使用することはありません。

十数年前に初めて米国から輸入されたPPFもノンコート製品であったため、車庫保管で雨風にさらされず、日常使用しないスーパーカーのフロントまわりの飛び石対策製品として販売されていましたが、それでも美観を維持できないという理由から市場からは一時的に消えていました。

2008年頃から米国のXPELというメーカーの製品が輸入販売され始め、現在でも最も知名度の高いPPFとなっています。 XPELの最大の特徴は、上級グレードの「アルティメット」の自己修復機能! 微細な洗車キズであればフィルム表面の温度があがると、傷が消えてなくなるっていう機能です。 真鍮ブラシでフィルム表面を擦って傷をつけ、ヒートガンで炙るとすぅ~~と傷が消えてなくなる!というパフォーマンスは販売サイドにとっては視覚で訴えられるので重宝されています。 XPELは輸入車やスーパーカー用のフィルムのコンピューターカットデーターが豊富なことから施工者にとっては頼りになるメーカーです。

2010年頃からはXPELに続く海外のPPFが続々と日本にも登場することになりました。 XPELアルティメットのような自己修復機能タイプのもの、変色を抑え美観維持を目的としたグロス(光沢)タイプのもの、撥水・撥油機能をもったコーティングタイプのもの、通常の塗装に貼るだけで艶消しにできるマットタイプのもの、最近では、ブラックはもちろん、赤や黄色などのカラーPPFも登場しています。

2020年前後は、PPFは乱立しています。 世界各国で開発販売されるPPF。 日本国内でも数社が開発生産を始め、輸入品・国産品と数多くのPPFが流通し、数々の新商品の開発やアップデートを繰り返しています。 十数年で激進化を遂げつつあるPPFですが、単純な構造であるPPFとはいえ、フィルム原反のチョイス、コート層の違い、粘着剤の性質によって、すべてのフィルムの施工性も結果も異なります。 それぞれのベストマッチを見極めるのはメーカーや販売者ではなく、現場の職人です。

PPFは製品単体で見ると単なる一枚のフィルムです。 ポリウレタンにトップコートを引いて糊を付けているだけ。 確かに単純な構造ではありますが、施工性・耐候性・再剥離性と、いろんなことを両立しなければならない作る側からすると非常に難題なフィルムだとも言えます。 施工性に関しては職人の技が生きる場面ではありますが、耐候性と再剥離性はすべて設計によるもの。 PPFはまだまだ過渡期にあると考えています。 さらなる新製品、さらなるアップデートに期待しつつ、PPF業界の発展に期待を寄せています。

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