透明遮熱フィルムとは

フロントガラスおよび運転席・助手席ドアガラスの3面に貼ることができると言われている、透明な赤外線吸収フィルムを「透明遮熱フィルム」または「透明断熱フィルム」と呼び、主にプロ施工店で施工販売されています。 透明遮熱フィルムのお問い合わせ時に、いつも聞かれる「車検に通るか!?」、「どれだけ涼しくなる!?」、「どれくらいもつの!?」、について詳しく解説していきます。

透明遮熱フィルムの見た目

透明系のフィルムを4種類並べてみました。 左から単なるUVカットフィルム(透過率90%)で遮熱効果はナシ。 透明断熱フィルム(透過率89%)赤外線吸収剤入の遮熱フィルムとして現在販売されているもの。 透明断熱フィルムレイシェード(透過率84%)現在は販売されていない十数年以上前の製品。 ソーラーガード・プレミアムLX(透過率72%)熱反射型の高性能遮熱フィルムで、透明フィルムとは別のカテゴリー製品です。

当店では、十数年以上前まではレイシェードという透過率84%の透明断熱フィルムを扱っていましたが、純正ガラスにUVカットやIRカット機能などが付与され、ガラス単体の透過率が70%ギリギリになってきたため、ほぼ車検に通らないだろうとの理由でメーカーは廃盤としました。

他の国内メーカーであるリンテック・3M・IKCなどは、透過率を89~90%程度に透過率を上げた製品の製造販売を継続。 上の写真を見てもわかるように色目がほぼ透明になり、単なるUVカットフィルムとの区別がつかないくらいの見た目になりました。 84%と89%ではたった5%の差しかありませんが、実はこの差はめちゃくちゃ大きいのです。

透明遮熱フィルムの仕組み

透明遮熱フィルムの仕組みは極めて単純

プロ用フィルムの表面には、タオルで拭いたくらいではキズが入らないようにするハードコートが施されています。 このハードコート層に酸化インジウムなどの赤外線吸収剤を混入しているのが現在の透明遮熱フィルムとなっています。 先記のとおり、赤外線吸収剤をたくさん混入させると微妙に色が着いてしまうので、90%程度の透過率を確保しようとすると、極微量な配合になってしまいます・・・・効果のほどは・・・・・・・

3Mの製品で、複層タイプの透明遮熱フィルムってのもあって構造も異なるのですが、あえて単独で説明するほどのモノでもないのでここでは省略したいと思います。

透明遮熱フィルムの効果は

ハッキリ言わせていただきますが! ありません!!!(笑)

多少なりとも赤外線吸収剤が入っているので「ゼロ」ではないでしょうが、遮蔽係数が0.8~0.9のフィルムで、人間が肌で「あぁ~~日差しが和らいだ~~ジリジリこない~涼しくなった~~」なんて感じることなんてありえません。 その程度で良ければ、最近の純正ガラスは、IRカットガラス(赤外線吸収剤を内側に塗っていて、良いか悪いかは別にして)になっているので、それで十分ではないかと。 IR吸収タイプのフィルム&ガラス共に、無いよりはマシ・・・ 程度です。 無いよりはマシなフィルム+無いよりはマシなガラス=お金の無駄ですよ。  あっ!! 単なるUV(紫外線)カットやガラス飛散防止の意味合いでの透明フィルムの施工は否定しませんし、むしろ推奨しています。

赤外線90%カットって書いてるぞ!

これ・・・・信じ込んでる方多いですよね。 赤外線90%もカットしてくれたら、めちゃくちゃ涼しいやん! 90%やで! 熱らほとんど感じないくらいでしょ!? って思っちゃいますよね。 残念ながら・・・・この赤外線90%カットの表現・・・まやかしです!! 一般のお客さまなら惑わされるのも仕方ないと思いますが、施工店でコレ言っちゃう人は「アホ」ですよ(笑) 専門施工店であるにも関わらず、光学特性や太陽熱のことなんかまったく勉強していないのでしょうね。 お客さまウケする謳い文句だけ問屋から聞かされて受け売りしているだけ。 なんと情けない・・・・

赤外線90%カットうんぬんの表現は、フィルムメーカーサイドで考えられた単なるキャッチコピーみたいなものです。 日本国内のフィルム施工屋の95%は下請け業なので、貼る人間が直接お客さまにフィルムの説明をする機会がありません。 なので、メーカーは、一般消費者が興味を抱き、購入意欲を増大させるためのキャッチコピーに力を注ぎます。 それが「赤外線90%カット」です。 

実際の遮熱性能は!?

画像にあるように、太陽からの熱エネルギーは、紫外線2%、可視光線(目に見える光)49%、赤外線49%です。 この時点で、赤外線を90%カットしていたとしても、全熱量の半分以下ですよね(笑) 

ここからのメーカーのやり口はエグい!! 

赤外線の領域は幅広いので、メーカーは、カット率の数字を大きく見せれる特定の領域(たとえば遠赤外線領域)を抽出して表現します。 特定の領域だけの話なのでウソにはならない(笑) でも、お客さんは絶大な効果があると勘違いして購入してくれる。 それが狙いなのです。

49%の中のある部分だけ90%カットって・・・・ホントは何%?

透明遮熱フィルムの実際の効果は、赤外線90%を信じる人にとっては悲しい話になりますが、光学特性から導くと・・・

総太陽エネルギーカット率は・・23%くらいです。

赤外線90%カット!!! と、大きな見出しがある透明遮熱フィルムの本当の遮熱効果は、23%カットだす(笑)

すんげぇ~勘違い商法でしょ! 

だけどメーカーは責めないでください・・・ ある部分を抽出した数値なので・・・丸っきしウソではないですから・・・

光学特性表やパンフレットの一部には、小さな文字で、申し訳なさそうに・・・・

ちゃいまっせ赤外線の一部のカット率の話でっせ・・・・

と記載してますから(笑)

施行店は実際の性能を知ってる!?

知ってか知らずしてかはわからないけれど、みなさん結構やってますよね。 ほとんどは知らないと思います。 いろんな施工店さんと話ししましたが、なかには 「 でも赤外線90%カットって書いてますよね? みんなそう言ってますよね? 」 と、不安げにも言い続けるマヌケちゃんが居ますし、光学特性は理解して話はできるものの、出てくる言葉はすべて光学特性表の数値のみ、日本のメーカーは、TSER(Total Solar Energy Rejected)日本語では「総太陽エネルギーカット率」の表記を行っていないので、ピンっ!とこないのでしょうね。 たぶん計算の方法もしらないだろうし・・・

どっちにしても、あっちこっちで施工しているのは事実です。 店頭での透明遮熱フィルムの説明には「体感器」もよく使われていますね。 透明遮熱フィルムを貼っている穴と、何も貼っていないガラスだけの穴に手を突っ込んで、2割程度の温もりの違いを感じさせる手法です。 あくまでも電球の熱なので・・・・多少の違いは感じるでしょう。

2割程度の遮熱効果の持続期間は

透明遮熱フィルムに使用されている赤外線吸収剤は、主に酸化インジウムなのですが、これが意外にも耐候性に乏しいのです。 セメント屋の論文みたいなのにも書かれていましたが、何年も持つようなものではござりませぬ。 酸化インジウムの赤外線吸収剤は数年で昇華?飽和?どっちが正しい表現なのかはわからないけれど、じっとして動かない建物の窓に貼ったテスト結果を見たことがありますが、1年で70%以上減退していました。 もともとの効果23%が70%減るので・・・7%ですか・・・・ まぁ、車は建物と違い動かせるので、日の当たる方向を変えて動き続ければもう少しは持続するでしょうね。 それでも日中青空駐車なら2~3年が限界じゃないですかねぇ。

車検にはパスできる!?

透明遮熱フィルムの効果持続期間のおよそが2~3年程度だと話したので、車検の話に進みます。 だって、車検って新車からの初回は3年でしょ!? 継続車検は2年ごと、貼ってすぐに車検ってなら話はわかりますが・・・・ 

新車時に貼った透明遮熱フィルムなんて3年後にはほとんど効果おまへんでぇ(笑) 

当店では、ハッキリと透明断熱フィルムの効果持続期間の話をしますが、他の施工店では一切その事には触れないんでしょうね。 まさか、施工店もお客さまも、一回貼れば何年も効果が持続するって思っているのかしら(笑) そのようですね。

赤外線吸収タイプの透明遮熱フィルムの車検うんぬんの話は、まったく意味がない!! ってのが当店のスタンスで、もともと2割り程度の弱っちい遮熱性能でも、それなりに効果を実感し続けたいのなら、毎年貼り替えましょう!!と、ご案内しています。

透明遮熱フィルムを貼った状態で車検にパスできるか否かは、

「その時になってみなければ分からない」

ってのが答えです。

2年も3年もたてばガラスといえど汚れくすみます、フィルムならなおさらキズが入ったり表面の劣化も起こります。 可視光線透過率測定器は数%の測定誤差もあります。 電池の電圧でも多少は振れます。 型式認定器はガラスの裏表で光軸を合わせて測定するので、角度や周りの明るさ、人によっても誤差がでます。 こういう測定器での合否判定を2年も前に予測してお答えすることなどできません。

車検の合否はどう決まる!?

車検時に可視光線透過率を測定する機器はこれです。 陸運事務所、軽自動車協会と警察が所有している光明理化学工業のPT-50が型式認定器で、これがすべての根拠となります。お値段は・・・・50万円。

現在は、PT-500という後継機がリリースされたので順次新型に入れ替わっていくと思われます。

 

海外製品の安価な可視光線透過率測定器がこれ。 上記の型式認定機の十分の一以内の価格で購入できます。 安価なので、施工店が所有している測定器のほとんどはこちらになっています。

フロント3面へのフィルム施工の場合、施行店は施工直後に安価な簡易測定器での検査を行い、検査結果が可視光線透過率70%以上を確保している場合には「可視光線透過率の適合書」のようなものを発行しています。 

ただし、これは施工時の透過率を証明している書類なので、先の継続検査時に車検をパスできるという保証書や証明書ではありません。 

車検時に、型式認定器PT-50(PT-500)で計測した数値が車検時の合否判定の根拠となります。

「貼った時に、こんな証明書をもらってるんだぞぉ~!」 と、水戸黄門の印籠のように突きつけたとしてもアキマヘン(涙)

要するに、前に計測した数値は、あくまでもその時の数値、今日の車検の合否は今日の数値が根拠。 さらに、型式認定器以外の機器で計測した数値なんぞ何の根拠にもなりませぬ! ってのが公的機関のスタンスです。

施工店会などが一生懸命に国交省などに働きかけをし、簡易測定器での計測と「車検適合書」のような「お墨付き」をもらおうと頑張っているみたいですが・・・・ (知り合いもいるのでこれ以上のコメントは口頭にて 笑 )。

ん~~~~我慢できんから、ちょっとだけ(笑)

要するに、透明断熱フィルムで簡易測定して70%以上クリアしていた証明書があれば、せめてディーラーさんは車検通してあげてよ!ってことなんですよ。 だって・・・・ディーラーですら型式認定機の透過率測定器は持っていないのですから。

透明遮熱フィルムの結論

安全かつ適法なフィルムの透過率を追求した結果、現在の素材では遮熱効果は20%程度の微力しかなく、これが限界です。

車検合否の判断は、車検時の型式認定器による計測値が唯一の根拠なので、先の予測の話は一切しない。

施工時の簡易測定器での数値は、あくまでも目安であり、車検合否の判定には一切意味がない。

透明遮熱フィルムの遮熱効果は短寿命なので、微力でも効果を実感したいなら毎年貼り替える。

透明フィルムに求める要素がUVカットや飛散防止目的だけなら、型式認定機の測定で車検合格ならOK 。

フロントガラスへの施工は、施工時に使用する大量の施工液による水濡れ・水漏れによる車内機器の故障の原因となるリスクは避けられないので、基本的には受注しない。

(フロントガラスへの施工については、当サイトの「レインボーフィルムのページ」にさらに詳しく解説しています)